みなさん、こんにちはSayaです。本日2023年4月26日、やっと博士候補生になれました(涙)
正直、予定よりだいぶ遅くなってしまって、とほほ・・・なのですが、とりあえずやっとPhD Candidateという称号を掲げることができるようになったのは、嬉しいです。
では、博士候補生になるということはどのような道のりを辿ることなのでしょうか?
今回は記録として、私が歩んできた道のりをまとめます。
(ちなみに、学問分野や大学によっても色々と違うと思います)
イギリスの博士課程の概要
イギリスの博士課程は基本的に3年間で、MPhil/PhDというコースが多いと思います。
このMPhilとはMaster of Philosophyというもので、修士号に等しい学位です。
イギリスの修士課程に入学すると、まずはMPhilのステータスからスタートします
MPhilの期間は、自分が博士課程で行う研究の計画を作成します。
私の学部では1万語の研究計画書の作成が求められています。
その作成が終わると、アップグレードと呼ばれる口頭試験に臨むことになります。
口頭試験では、2名の先生と1時間から2時間に及ぶ面接が行われます。
面接時間は人それぞれですが、最大4時間面接をしたという人もいました。
この面接試験の合格により晴れてPhD Candidate(博士候補生)という称号がもらえます。
つまり私が今回合格したのは、この段階です。
アップグレードが終了すると、データ収集がスタートでき、論文の完成を目指し、最終試験に臨むという流れとなります。
最終試験も2名の先生との口頭試験です。
以上、イギリスの文系博士課程の概要はこんな感じです。
私のアップグレードの内容
フルタイムの学生ですと、アップグレードの試験は入学して9ヶ月目から受けることができます。
そして、だいたい18ヶ月目までにアップグレードを完了させることが求められています。
私がイギリスの博士課程に入学したのは、2021年の9月でしたので、9ヶ月目というのは2022年の6月くらいでした。
実は、その頃からもうすでにアップグレードの話は出ており、私の研究の方向性もだいぶ決まっておりました。
指導教官との話し合いでは7月、8月にアップグレードをしようなんて話をしていたのですが、結局夏休みをまたぐことになってしまいました。
夏休み明け、9月になり、アップグレードの試験管を誰にするか?という話になりました。
候補の先生があがり、その先生方に話をしたところOKとのお返事はいただけたものの、11月にしか都合がつかないということで、11月にアップグレードを受けることになりました。
ただ、アップグレードというのは非常に曖昧なもので、先生次第でその評価基準が異なります。
どの程度アップグレードの資料を準備すべきか?という点も、先生によって判断が異なり、私の指導教官は、アップグレードの先生が色々とアドバイスをくれるはずだから、そのアドバイスを受けて内容変更をするために、アンケートの作成や、インタビューで使う資料までは気合いを入れてやらなくても大丈夫と判断してくださったんです。
しかし面接試験では、アンケートの出来栄えや、インタビューツールについてだいぶ試験管にコテンパにやられました(苦笑)
これは、指導教官のせいにしているというわけではなくて、アップグレードに対する先生方の見方や評価基準がだいぶ異なるということを感じた経験でした。
アンケートとインタビューの内容について、十分吟味できていないのですが大丈夫でしょうか?
と私が不安に感じていたのに対して
大丈夫、アップグレードは先生方からのアドバイスをいただく機会だから、ディスカッションしていればいいのよ!アップグレード後に、内容が大きく変わったりするから、今一生懸命取り組んでも、無駄になってしまう可能性もあるからね
なんて言われていたので、そういうものなのかなぁと思って試験に臨んだわけですが、「大丈夫!」と言われてたところをガッツリつけ込まれて、うぎゃーとなりました。
私のアップグレードの結果
正直、アップグレードはだいたい合格します。
指導教官自身も他の学生のアップグレードの試験管をしているわけですから、アップグレードがどのようなものかも分かっていらっしゃいますし、アップグレードの基準を満たす研究計画書の質もわかっているわけです。
つまり、指導教官がアップグレードに臨もう!と言ってくれたということは、もうすでにコンテンツとしては、十分合格基準であるということなわけです。
先輩に話を聞いても、どの人も
アップグレードはいい機会だよ!楽しくディスカッションするだけ!
アップグレードはとても役に立ったー。
というポジティブな意見ばかりでしたので、私もそんな気持ちで向かいました。
そしたら、なんと「再試験」という衝撃的な結果をもらったわけです。
アップグレードには3つの結果があります。合格 / 再提出(再試験なし)/ 再試験です
私はこの中で一番最悪な再試験という結果にぶち当たりました。
しかし、私は自分が再試験になってしまったということを気づかず帰宅しました。
というのも、試験結果は口頭試験が終わって15分程度で出されます。
教室の外に出て待っている間に面接官二人が相談して結果を決めるのです。
試験には私の指導教官も付き添ってくださっていたので、試験後私と指導教官は部屋を出て、二人で試験の質問についての話をしながら待っていました。
結果が出たということで部屋に入ると、面接官の二人が丁寧に解説をしてくださいました。
その中で言われたことは「再提出」でした。
実際のところ、再提出くらいなら、経験している博士課程の学生は結構います。
ですが、すかさず指導教官が私を擁護するかのように、合格に持ち上げようともしてくださったのですが、その結果が覆ることはありませんでした。
翌日、試験管から試験結果のレポートがとどきました。
そこには「再試験」という文字が書かれていました。
「は?」と思い、速攻指導教官にメールをしました。
先生も私と一緒に面接官から話を聞いており、私が「再試験」であるとは思っていなませんでした。そのため、この結果はおかしいと不服申し立てをしたわけです。
でも、「再試験」であるという結果は覆りませんでした。
ということで、私が11月に受けたアップグレードは不合格に終わり、研究計画書の書き直しと再試験に臨むことが求められたわけです。
かつ
再試験で落ちた場合は、もうラストチャンスはなくMPhilという称号だけをもらってUCLを去るという最悪な結末が待っていたわけです。
私は正直いつも崖っぷちを這いつくばるような人間でして、「うわー、また崖っぷちやん」って思いました。
研究計画書の書き直しの日々
生きた心地のしない4ヶ月を送ってきました(苦笑)
1万語の研究計画書は1ヶ月で5000文字削り、新たに5000文字書き直しました。
それが私の2023年の幕開けです。
ただ、この書き直しの日々は本当に良い日々でもありました。
改めて、一から考え直しもっと文献を読み込むと、新しい視点が見えてきて、自分の中でも研究計画書がどんどんと深みのあるものになっていく感覚がありました。
1回目のアップグレードの時の自分よりも、力がついている実感を得られたのです。
今となって思うのは「書き直しをしてよかった」ということです。
あのまま、さらりとアップグレードを通っていたら、今のような視野は持てていたのか?と思うと、十分ではないようにも感じます。
やっぱり文献と真摯に向き合うことは大事だなと実感した日々でした。
2回目のアップグレードへの意気込み
2回目のアップグレードへの準備はやれることはやれるだけやったという気持ちで満ち溢れていました。
なので、もしこれで不合格を取ってしまったら、私には為す術はないという状況でした。
これで不合格であれば、やっぱりUCLの博士号ってそういうものなのか・・・というネガティブに考える日もありました。
ですが、それと同時に、不合格でUCLを追い出されたら、この失敗をどうやって次の博士号取得への道の糧にすべきなのか?ということまで考えていました笑
そんな思いを胸に、2月くらいから用意周到に次のアップグレードを待っていたわけなんです。
そしたら、指導教官から面接官の都合上、4月27日にしか試験が行えないという連絡が来たわけなんです。
なぜ・・・。こんなに待つのか・・・。
一度目のアップグレードの時も6、7月からずっと待ち続け、ようやく11月に試験で、今回も2月には訂正版を完成させていたにもかかわらず、アップグレードが4月の終わりって・・・。
こんな感じで、不安を抱えながら、じっと我慢し続けた冬でした。
その間、私は異文化の魔法を通して出会った友人に、本当に助けられました。
食事をしたり、ちょっとお出かけしたり・・そんな日々は、私の崖っぷちな状況を忘れさせてくれる、楽しい日々でした。
心から感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとう!!
2回目のアップグレードは不思議な感じで終わってしまった
2回目のアップグレード1週間後に控えた2023年4月20日。
私は混合研究法のディスッショングループで1時間のプレゼンテーションをすることになりました。
20分程度のプレゼンは経験したことがあったものの、1時間プレゼンテーションをするというのは初めての経験でした。
でも不思議と楽しくプレゼン発表ができたんです。
なぜかな?と振り返ると・・・
博士課程2年目の1学期に経験した大学院生に対する授業運営がかなり私に力をつけてくれていたんだということを感じました。
あの時は、必死になって大学院生の授業準備を行い、1時間半から2時間のクラスをどのように運営すべきか、毎日悩んでいました。
ずっとお腹が痛くて、不安がつきず、寝れない日々もありました。
でも、あの経験は私をかなり成長させてくれました。
そのおかげもあったのか、今回の1時間の研究発表は、本当に楽しく、勉強になる意見をたくさん頂けて、よい時間でした。
先生方からも「アップグレードは大丈夫だわ!」なんていうお墨付きをいただき、自信も持てた時間だったわけです。
が!
その帰り道・・・
指導教官と話をしながら歩いていたら
「27日のアップグレードはストライキのためできない」
というメールを指導教官が面接官から受け取ったわけです。
これだけ待っていた私に、つぎは「大学教員のストライキ」という問題が降りかかってきました。
がっかりでした。
今回の大学教員のストライキは評価のボイコットを含むため、学生の試験は一切行えない状況になってしまったわけです。
しかも、これは7月まで続きます。
7月までアップグレードができないとなると、また3ヶ月何も進めず待つのみとなるわけなんです。
なぜいつも、学生だけがストライキの被害を被るのか・・・なんて思いつつ、明日はどうなるのか・・・なんて考えながら26日の今日を過ごしていたわけです。
そしたら指導教官から急にCongratulation!!のメールが届きました。
そのメールを開くと、今回の私の対応については、学生への公正な配慮として再試験ではなく、研究計画書の再提出という形で、アップグレードを認めるとされたわけです。
私としては、それだったら、最初のアップグレードの時点で「再提出」にしてくれたら、11月から今まで、こんな気持ちにならず日々を過ごせたのに・・・
なんて思いつつ、「再試験」だったからこそ、自分をストイックにさせ、学問と向き合い、学びを深められたわけで、結果論的に言えば、よかったのかなと思うわけです。
とりあえず、拍子抜けする感じでアップグレードできましたので、本日から博士候補生と名乗れます。
私はいつも崖っぷち
私のアップグレードは、超稀な事例です。
事例というか、事件と言っていいほど、おそらく、他のUCLの友人にも驚かれる内容です。
UCLのHPによると、アップグレードはだいたい8−9割は受かるものですので、今回、なぜ私が落ちたのか?という点を分析しようとしたら、たくさん思うことがあるのですが、ここでは記述を控えます。
これは私だけでなく、アップグレードを見ていた指導教官もいろいろと思う点があると思います。
ですが、私自身の能力に至らない点があったということは事実ですから、落ちたことにより、崖っぷちに立たされ、必死に学問と向き合えたので、結果オーライです。
でも、私の人生いつも崖っぷちなんです・・・。
思い出せばキリがないですが、代表的なもので言えば・・・
18歳の頃、大学受験をしたわけなんですが、父親に国立大にしか行かせられないから、私立大を滑り止めに受けたって意味がないだろ、入学できないんだから!と言われて、前期も後期も、同じ大学を受験することにしたため、大学受験は1校のみという崖っぷちで戦っていました。
当時の担任の先生もだいぶ心配していたと思います。
UCLの修士課程の進学も、博士課程の進学の際も、不合格になったり、奨学金が落ちたり、ギャップイヤー取ることになったり、なんだかんだで崖っぷちでした。
そして、アップグレードでも崖を見ました。
でも、この崖から這い上がるたびに強くなっている気がします。
ですが、もう博士課程在学中に崖は見たくないです。
おまけ
おまけとして・・・
正直、私がこうして自分の失敗したことを記事にまとめて公開するのには、抵抗がないわけではありません。
ですが、人生は成功ばかりが続くわけがないですし、むしろ失敗があってこそ成果が出るわけですから、その失敗はしっかりと記録しておくべきだと思っています。
なので、このブログには私がIELTSを15回も必死になって受け続け、号泣していた軌跡も綴っていますし、オックスフォードを受けて不合格になったことも綴っています。UCLも不合格になったことも、そして合格をいただいたあとに入学を1年延期にしたことも、全て事実として綴っています。
こんな私の一経験談ですが、誰かの役に立てば、崖っぷちを経験した日々もよかったものと思えるような気がします。
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