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イギリス文系博士課程の研究環境・待遇・実態

イギリスの大学院
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saya

・UCL博士課程在学中
・UCL修士課程修了(Distinction)
・直感でやりたい!と思ったことはとりあえずやってみる性格です

学問:教育社会学
前職:小中学校教員 / 日本語教師
興味:文化の違いを楽しむこと
趣味:旅行 / ヨガ / 温泉めぐり
英語:IELTS7.5 / TOEIC 900

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こんにちはSayaです。

今回は、イギリス文系博士課程の環境・待遇・実態をテーマに、ざっくばらんに私が感じていることをまとめていきたいと思います。

この記事の内容は私が所属するロンドン大学の教育学研究所(University College London, Institute of Education)の事例でして、他の大学はだいぶ違うと思います。

ですが、少しでもイギリスの文系博士課程の雰囲気が伝われば幸いです。

研究環境について

研究環境の良し悪しは、研究内容によって、だいぶ変わると思います。

私の場合はフィールドワークが中心の研究でしたので、理系のように、とりわけ実験器具などは必要はありません。

また、研究室のようなものは、あるようで、ありませんし、今のところ無くてもそこまで問題は生じていません。

私たち博士課程の学生は、一応、学習ルームのような場所がありまして、そこには共同のPCが設置しております。

学習ルームは複数あり、場所によってはキッチンがついていたり、グループディスカッションができるようになっていたりします。

ただ、自分のPCやデスクがあるわけではないので、毎日行く場所として適しているのか?と言われると疑問です。

一方、図書館は人が多いので、そういった意味では、博士課程の学習ルームは、比較的こじんまりとしていて、静かではあります。

私が最もUCLの環境で役立っている感じるのは、ほぼ無限大に近い文献へのアクセスと、調査に必要なソフトウェアの多さです。

書籍は図書館に依頼すると購入もしてくれます。

この間、学会の関係でドイツに行ってきたのですが、そこで他のヨーロッパの博士課程の学生さんと話をする機会がありまして、改めて、UCLの文献アクセスの強さを感じました。

ヨーロッパの大学ですと、小さい規模の大学では、メジャーな論文へのアクセスも制限があるという実態を知り、私が当たり前に感じていることは、本当は当たり前ではないということを実感しました。

ただ、日本語の書籍へのアクセスはできませんので、その点は自費になります。
(または、研究費を獲得できていれば、研究費でカバーということになると思います)

ソフトウェアについては、たくさんの種類があり、だいたいメジャーな分析ソフトは一通り網羅してくれています。この点はとても助かっています。

その他、常に大学内のどこかで何かが行われている状況ですので、セミナーや、勉強会には、とてもアクセスしやすいです。

万が一、自分が学びたい情報が探せなくても、大学内には誰かしら、その分野に精通している先生がいらっしゃり、そういった先生方に近づきやすいのも強みです。

ただ、この環境は情報量が多すぎて私には処理しきれていません。

奨学金・研究費

UCLの文系博士課程は、ほとんどの場合が自費、または、外部から資金を獲得してきています。

ただし、大学の先生によっては、博士課程の学生を雇える分のリサーチファンドを取得している方もおり、そういったプロジェクトに関わることができれば、博士課程の学生をやりつつ、学費と生活費を出してもらえたり、RAの仕事もできたりします。

ただ、そういった状況は非常に珍しいです。

また、博士課程の研究内容が、自分のやりたい研究と少しずれてくることもあるかもしれません。

そういった案件は、Jobs.ac.ukというサイトに求人が出ていたりするので、こちらをチェックしているといいと思います。

その他、博士課程の学生に与えられている学会参加の補助も大学にはあります。

私の場合だと在学期間中で合計1000ポンドですから、あるようで、実際には、ほとんどありません。

フィールドワークの補助については、外部資金の案内があるので、そういったチャンスを自ら積極的に獲得していく姿勢が必要です。

私は2700ポンド分くらい外部資金を取得してフィールドワークに行ってきました。

TAやRAのお仕事

海外の博士課程には、ティーチングアシスタント(TA)やリサーチアシスタント(RA)の仕事をすることで、学費が免除になったりする場所もあります。

しかし、基本的に私の大学はそういった制度はありません。

学内では、TAやRAの求人はあるのですが、博士課程応募時点で、TAやRAが内定して入学できた人は、あまり聞いたことがありません。

博士課程に在籍しながら、そういったポジションが出てきた際に申し込みをするという形式です。

私はこれまでどちらにも採用していただき、現在もTA、RAとして働いています。

ただ、TAやRAといえど、ちゃんとしたカバーレターの提出と、面接があり、初めてTAの面接を受けた時は、少しびっくりしてしまいました。

さらに、TA、RAといえども、応募者数が多いため、ちゃんと落ちます・・・。

その他の実態について

イギリスの博士課程の募集にはよくMPhil/PhDという言葉がついていたります。

私がイギリスの博士課程を探し始めた頃は、なぜ博士課程なのに、MPhil/をつけるのか?と疑問に思っていたのですが、実際のところ、このMPhil/がいかに厄介なものか、博士課程に入ってから痛感させられます。

まず、私の大学の場合ですと、入学後9ヶ月目から18ヶ月目の間で、一度口頭試験を受けることになります。

この口頭試験を突破できないと、PhDの博士号ではなく、MPhilの修士号しかもらえないという事態になったり、退学させられるという事態になったりします。

退学も恐怖ですが、博士課程と同じだけ在籍して、最後にもらえる称号が修士号というのも辛いですよね・・・。

この口頭試験を突破すると、次に待ち構えているのが、4年目からもらえる博論執筆期間ステータスの認定許可です。

イギリスの博士課程は最低3年と言われていますが、正直3年で終わる人はとても珍しいです。それもあって、基本的に4年目は学費の支払い義務のない博論執筆期間ステータスというものが、どの大学にも存在しています。

このステータスは4年目から取得可能なのですが、研究の進捗状況が十分でなければ、このステータスはもらえません。

つまり、4年目も高額な学費を支払わないといけないという恐怖が待ち受けています。

なお、現状で1年間の学費は350万円を超えているので、追加でそのような額の支払いをするわけです。

いつまでこの高額な学費を支払うのか?

そして、自分の研究はいつ終われるのか?

この葛藤に4年目から悩むというループに入り、研究の進捗状況がよくない学生は、休学という選択をとっていたりするようです。

そういう話を聞けば聞くほど、恐怖に怯えます。

博士論文執筆期間に入ると、その1年以内に博論の提出が求められます。その後最終口頭試験を受けることになります。

最終口頭試験についても、色々な恐怖逸話があるのですが、私はまだ最終口頭試験には辿り着いていないので、この内容については、最終口頭試験後にまとめたいと思います。

おわりに

今回の記事のまとめですが、結局、どこに行っても自分が望むパーフェクトはないような気がします。

学部や修士課程と違って、博士課程はいろいろな要素の掛け合わせのバランスで進学先を選んでいくのが良い気がします。

私は偶然にイギリスの修士課程に進学し、その指導教官のもと博士課程に在籍することができているのですが、このようなパターンはどの程度あるのか?と言われると疑問です。

自分の努力だけでは、なんともできない要素がたくさん絡んでくるので、とても難しいと思います。

どこに行っても良い点もあり、物足りない点もあり・・・なので、とにかく頑張ってみて、たどり着いた結果を正解にできるよう、努力を続けることが大事なような気がしています。

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