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海外の博士課程で研究する良さ・大変さ:日本と海外どちらを選ぶか?

research environment イギリスの大学院
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saya

・UCL博士課程在学中
・UCL修士課程修了(Distinction)
・直感でやりたい!と思ったことはとりあえずやってみる性格です

学問:教育社会学
前職:小中学校教員 / 日本語教師
興味:文化の違いを楽しむこと
趣味:旅行 / ヨガ / 温泉めぐり
英語:IELTS7.5 / TOEIC 900

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こんにちは、Sayaです。

今回の記事では「海外の博士課程で研究する良さ・大変さ」について、まとめていきます。

ここで言う「海外」というのは、比較的留学生が多い日本国外の大学のことを指したいと思いますが、基本的には私の経験談なので、イギリスの大学での経験談が中心となります。

海外の博士課程で研究を行うことの良さ

まずは、海外で研究を行うことの良さを7つご紹介いたします。

  1. 海外に人脈を広げることができる
  2. 研究費の守備範囲が広くなる
  3. 国際学会に参加しやすい
  4. 多くの文献にアクセスできる
  5. 大学の授業を受け持つことができる
  6. 言語力が上がる
  7. 自分の住んでみたい国や地域に住むことができる

海外に人脈を広げることができる

研究をやっていく上で、海外の研究者と共同研究や、海外をフィールドに研究をやってみたいと思っている方も多いと思います。

私はそういった研究に興味があったので、博士課程に入学する前から海外の人脈は大事だと感じていました。

海外に人脈を作るには、国際学会への参加は大事ですが、やはり日々の生活の中で出会う人々の存在は貴重です。

そんな出会いは博士課程にたくさんあります。

博士課程を海外で行うと、苦労を共にした戦友ができます。そのような友人は、いつか何かの形で繋がっていくんだろうな感じています。

研究費の守備範囲が広くなる

当然かもしれませんが、海外の大学に在籍していると、海外の研究費の情報に詳しくなります。

大学からも情報が流れてきますし、指導教官や友人が研究費の情報を提供してくれます。

そして何よりも、その研究費を獲得したこのある経験者から直接話を聞く機会を得ることも多いです。

経験談を聞くと一気に、海外の研究費の存在が身近に感じるようになってきます。

日本にいるだけでは考えることもできなかったようなチャンスに応募しようと思えるようになるのも、海外で研究をしているメリットかもしません。

国際学会に参加しやすい

日本の大学に所属していると、「学会=国内学会 or 国際学会」のような感覚がある気がします。

そのため、国際学会に参加するということは少々ハードルが高く感じる場合が多いのではないでしょうか。

でも、海外の大学に所属していると、「学会=国際学会」です。

その一択しかないので、国際学会に参加することに対するハードルは低く感じます。

それから、現実的な面として、日本から海外に出ていくのは経済的にも大変ですが、ヨーロッパの大学に所属していると、かなり安く周辺国に行くことができます。

旅費が安いという点でも、国際学会への参加ハードルが低くなる要素な気がします。

(もちろん、旅費の安さは留学先によりけりですが)

多くの文献にアクセスできる

私は海外の大学に来て、文献のアクセスのしやすさに驚きました。

ただこれは、「海外の大学だから」ではなく、どういった大学か?にもよるかもしれません。

文献のアクセス量は、大学の研究予算にもよりけりなので、どういったジャーナルと契約しているか次第でどの程度、文献にアクセスできるかは変わってくるかと思いますが、海外の大学の方が英語文献へのアクセスは確実にしやすくなると思います。

研究を深めるためには、日本語で書かれている文献には限度があるので、英語文献に目を通すのは必須ですし、そのアクセスのしやすさは、研究の深さにも関わってくると思います。

また、将来的に国際ジャーナルへの投稿を検討しているのであれば、英語文献に目を通さずして国際ジャーナルは通りませんので、英語文献に目を通せるリソースの多さという点を考えると、海外の大学は比較的有利かもしれません。

それから、海外にいると海外の中古本も手に入りやすく、手頃な価格で必要な本が手に入ります。

そういった点も、海外で研究するメリットになる気がします。

大学の授業を受け持つことができる

海外の博士課程の学生は、研究者であり、大学教員としての扱いをされることが多く、大学の授業を受け持たせていただけます。

その場合の肩書きはティーチングアシスタントではありますが、がっつりセミナーを運営を担当したり、学生の課題添削をしたりします。また、学位論文のサポートなどにも関わったりすることもあります。

海外の博士課程に在籍していると多くの場合、これらの業務を日本語以外の言語で担当することになるわけですから、日本ではなかなか経験できない貴重なスキルアップの場だと感じます。

言語力が上がる

海外の博士課程に進学するには、高い言語力が求められます。

英語で開講されているコースであれば、IELTS Overall 7.0 (TOEFL 100)以上なければ大変です。

分野によっても異なると思いますが、最低限このくらいの英語力がないと指導教官との会話に困る気がします。

個人的な経験として、このくらいの点数をIELTSで安定的に取れるようになると、それ以上の言語力の伸びはなかなか見えにくく、どうやって英語力を伸ばそうかと悩むこともありました。

しかし、博士課程という環境に身を置き、大量の論文を読み、学会発表、授業運営、日々の生活などを送っているうちに、博士課程終了時点では、だいぶ言語力は鍛え上げられた気がします。

私の感覚として、今の私の言語力はイギリスに留学の最初の時期(当時でIELTS Overall 7.5ありました)よりも上がっていると思います。

つまり、博士課程に進学して英語で研究を行うくらいの分量をこなせば英語は確実に伸びるということは分かりました。

自分の住んでみたい国や地域に住むことができる

海外で研究する良さの一つは、自分の住んでみたい国に住むことができるという点があると思います。

私はイギリスに住んで4年半になりますが、イギリスに住む前は、イギリスやアメリカに住むのは、私にはまるで考えられない、とてもかっこいい人生だと思っていました。

会社に勤めても、教員として働いたとしても、イギリスのロンドンに住むことは簡単に達成できるようなことではありません。

きっとワーホリという手段もあったのかもしれませんが、私にはワーホリ終了後のキャリア像を描くことができなかったので、「研究」という手段は、自分で住んでみたい場所を自由に選んで、それを可能にさせる一つの方法にも感じました。

海外の博士課程で研究を行うことの大変さ

続いて、海外の博士課程で研究を行うことの大変さについて7つまとめました。

  1. 大学の研究環境の物足りなさ
  2. 日本のアカデミアから疎遠になる
  3. 日本の家族の存在
  4. 言語の壁
  5. 生活の質
  6. VISA問題
  7. 日本に所属先がないと応募できないものがある

大学の研究環境の物足りなさ

この間(2024年6月)私は久々に日本に帰国する機会をいただきました。その際に、日本に大学を6校訪問させていただいたのですが・・・

もうびっくり仰天。

日本の大学は学生1人に対するスペースが広く、学習環境がとても整っているなぁと改めて感じたんですね。

先生1人に対する学生の人数もイギリスより(最低限私は自分の大学の現状しかわかりませんが)少なく、手厚いサポートを受けている印象も受けました。

また、ゼミというシステムがあるのも羨ましかったです。

私の所属先にはそういった環境がないので、自主ゼミで各々が集まっている状況なため、海外の大学院は積極性が重要だと思います。

日本のアカデミアから疎遠になる

これは仕方ないことではありますが、かなり意識を高めに持っておかなければ、日本のアカデミアからは疎遠になっていきがちです。

現地(または海外)の研究会や学会の参加だけでも、結構大変だと感じておりますが、それが日本とのつながりを維持しようとすると、二足の草鞋を履いているような感覚で・・・私は体力的に厳しくも感じます。

ただ、私の場合は日本とのコネクションがほとんどないまま、こちらに来てしまったのもダメだったと思うんですよね。

日本のアカデミアとの関係性が十分にできている状況で、海外進出するとか、ポスドクの段階から海外進出するとか、ある程度日本のアカデミアで働いて海外進出するなどいう手段をとれば、私の現状とは全く違った状況になると思います。

日本の家族の存在

日本の家族の存在は、海外に出る際に、一つ後ろ髪を引かれる要因になると思います。

私の場合は、ありがたいことに、親が比較的若いこともあって、両親の状況について大きな心配はなく、海外に出てくることができたのですが、両親が高齢だとそうも言っていられない方もいると思います。

また、ご結婚されていて、お子さんがいる場合も状況は異なってくると思います。

日本と海外を行ったり来たりするのは、時間的にも、経済的にも、身体的にも大変なことですから、海外で研究するのは家族の理解や支えがあって成立するものだと思います。

言語の壁

日本語以外の言語で研究する場合、どうしても言葉は大きな壁になりやすいです。

言語力がゆえに、議論が不完全燃焼で終わってしまったり、論文で使おうとしている言葉がシンプルすぎたり、常に言語力には納得いきません。

言語の壁は、精神的にもしんどくなることがあるので、それが故に精神的に病むことにもなりかねません。

なので、IELTS7.0以上は取得してから博士課程に進学することで、言語による大変さは多少緩和されると思います。

生活の質

切り取り方次第で「生活の質」の定義がことなってくるかと思いますが、私が思う限り、日本ほど生活の質が高い国はないのではないかと思います。

もちろん、経済的にゆとりがあるのであれば、話は違いますが、日本は一人暮らしのアパートを借りることも可能ですし、医療も十分整っています。食も豊富で、安全性も非常に高いです。生活の質に対する、生活費も比較的安い(または、まともな価格)だと思います。

日本のワーキングカルチャーには思うところもありますが、ヨーロッパのようにシェアハウスでの生活は揉め事が起こりやすく、ストレスの原因になっていることも多いです。

また、シェアハウスで、色々と制約があるなか、日本の一人暮らしアパートの2倍以上の家賃を払っていると思うと、なんだかなぁ・・・という気分にさせられます。

一方、過去私が住んでいたタイは、住環境はイギリスより良いですが、医療の点で、色々と思うことがありました。

もちろん、イギリスの医療も思うことが色々あります。

こういった要素というのは、短期間であれば、さほど問題にならない程度なのかもしれませんが、長期間の滞在となると、色々と問題も大きくなるのかなと感じます。

VISA問題

海外に滞在するには、VISAの取得が必須です。

どのようなステータスのVISAでその国に滞在するかにもよると思いますが、VISAのルールは、急に変えられることもしばしば。

イギリスの場合であれば、Graduate Visaというのが、議論の的にあがりやすいビザの一つです。

Graduate VIsaとは、イギリスで修士課程を修了すると2年、博士課程を修了すると3年分のビザステータスを「お金を払うことによって」得られる権利です。(*2026年現在、修士課程のビザは18ヶ月に変更になるようです)

これを使って、就職活動をして、現地での就職を目指す方が多くいらっしゃるのですが、その申請料が70万と非常に高額で、諦める人も多くでています。

申請料は、年々値上がりをしていて、あまりにも高額なので、経済的なゆとりがなければ研究を続けるにも、非常に難しい選択になる気がします。

日本に所属先がないと応募できないものがある

研究費についてはメリット・デメリットどちらも存在しています。

海外の研究費に応募しやすくなる点がメリットとしてあげましたが、その一方で、日本国内の研究費に応募できなくなってしまうという点がデメリットとなってしまいます。

その点は仕方ないですよね。

両方を得ることなんてできませんから・・・。

例えばですが、JSPSのDC1やDC2は良い事例かもしれません。

海外の大学に通う場合は、DC1やDC2を得ることができません。その代わり、海外留学支援制度で給付型の奨学金をいただくことで、海外の博士課程に進学するのが、比較的、現実的な道になります。

しかし、海外留学支援制度にはDC1やDC2にあるような研究費のサポートはありませんので、自分で研究費をなんとかしなければいけないわけです。

その他、色々な研究助成は日本の大学に所属先を必要とする場合があるので、海外にしか所属機関がないと応募できないことも多々あります。

そういった点も、頭に入れている必要があると思います。

まとめ:海外と日本どちらがいいか?

ここまで海外の博士課程で研究する良さ・大変さをまとめてきました。

どのように感じたでしょうか?

海外と日本、どちらがいいか?という点は、個人的な状況によるというのが答えな気がします。

自分の生活の全てを研究に注げるわけではないですし、博士課程に進学する年齢を考えると、キャリアだけでなく、私生活のバランスを考えなければいけないと思います。

その結果、海外に行くことは難しいと判断する方もいるでしょう。

とはいえ、日本のアカデミアでは経験できない世界が広がっているのも事実ですし、博士課程という長い期間をどっぷりその環境に浸りながら過ごすということは、とても貴重な経験であるということは間違いありません。

個人的には後悔はない選択でしたが、他の人に、この道がいいと勧めるような選択ではないなとも思っています。

最後になりますが、もし海外の研究機関で博士課程に進学したいなと思っている方は、その他の異文化の魔法の過去の記事を読みながら、博士課程の雰囲気を感じていただければと思っています。

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